データ活用を促進する「データ視覚化のデザイン」

Twitterで著者が運営する会社のブログ記事に出会い、発売前から気になっていました。テクニカルなことだけでなく「ユーザーに見てもらえること」が強調されている点です。

参考 データ視覚化/ダッシュボードデザインを成功させるための95のチェックリストData Viz Lab

データビジュアライズ本を買おうと思ったことがあるのですが、色やグラフ使い分けなどテクニカルなことが多く、今まで買うまでには至りませんでした。本書は、ユーザーに見てもらえることが強調されており、読後すぐにビジネス現場で活かせると感じたので、紹介します!

概要

本書は、ダッシュボードを作成するデータ職だけでなく、Excelなどでグラフを作成する方向けのデータビュジュアライズ実践書です。グラフの使い分けや見せ方などのデザインから、実際に現場で使ってもらえるための考え方やノウハウまで解説されています。

著者のデータ活用・視覚化をクライアントに提供してきた経験から、「オーディエンス(多くの人)に興味を持ってもらえる」データビジュアライズのノウハウや事例が豊富に書かれており、実践に活かせることが本書の特徴です。章立ては以下の通り。

  1. データ視覚化「キモのキモ」
  2. これだけでグッとプロっぽくなるコツ
  3. 目的に応じたチャートの選択
  4. 事例で学ぶ-ダッシュボード作成思考のキャプション-
  5. 本当に組織に根付かせるために

1章が「視覚」について基礎概念が紹介され、オーディエンスの認知的負荷をいかにして下げるか、2章が色やテキストなどのデザイン、3章がグラフの使い分け、4章が事例でダッシュボード作成の思考過程、5章がオーディエンスを意識することでデータ活用を浸透させるポイントが記載されています。

2〜3章のテクニカルなことが書かれた類書はあるものの、実際に現場でデータビジュアライズを使ってもらえるためには4〜5章が重要であると感じました。

オーディエンスを意識する

事業会社でデータアナリストとしてダッシュボードを作成したりしていますが、恥ずかしながら、見られていないダッシュボードがあります。ダッシュボードとは、本書の定義を引用すると「データを見て理解を促進させる視覚的表現」です。

定義からわかるように「視覚的表現」の前にオーディエンスが「データを見て何を理解したいのか」が重要であると感じています。データで見たい要望はあるものの「何を理解したいのか」が抜け落ちることが多々あるので確認するようにしています。それでも、見られなくなるダッシュボードはありますが。。。

データビジュアライズで視覚的表現に目がいきがちですが、本書で強調されている「オーディエンスを意識する」必要性を業務で実感しています。

また、本書を読んで、ダッシュボードには2種類あり、使い分けを明確に意識しようと思いました。

ダッシュボードは2種類

ダッシュボードは大きく分けて2種類あります。

  • 探索型ダッシュボード:中立的。日々モニタリング用のダッシュボード。
  • 説明型ダッシュボード:意見が明確。明確な1つのメッセージを伝えるダッシュボード。

探索型ダッシュボード作成のときは、主体はモニタリングする人なので、数値やグラフの傾向に目がいくように、デザイン性の高いものは避け、シンプルなものを心がけます。

説明型ダッシュボード作成のときは、自分が伝えたいことが伝わるように、テキストを入れたり、伝えたいメッセージに紐づくデータを強調したりしていきます。

さいごに

「オーディエンスを意識する」ことに焦点をあてて本書を紹介しましたが、ビジュアルデザインについても事例豊富で、すぐ真似したいものばかりでした。特に、BIツールとしてTableauを使っている人は必見です。著者の公開されているダッシュボードのリンク記載します。

参考 Yukari Nagata 永田ゆかりTableau Public

データで見えて物事を深く理解できることは楽しいので、データサイエンスのようにデータビジュアライズに、もっと注目が集まってもいいのかなと思っています。ビジネスでデータを活用するために、本書をおすすめします!