有効求人倍率を正確に知ろう!一般職業紹介状況データを可視化

雇用情勢を示す重要指標のひとつ「有効求人倍率」は、どのように算出されているのだろう?

有効求人倍率の基となっている「一般職業紹介状況」について調べ、BIツールを使ってデータで可視化してみました。この記事では、4つの割り算の指標(有効求人倍率、新規求人倍率、就職率、充足率)の定義と見方を理解することを目的に、15年間(2004年〜2019年)の年次データ推移を確認しています。

ポイント
  • 求人倍率は、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す。
  • 有効求人倍率は、有効求人数 ÷ 有効求職者数で算出。景気と一致して動く特徴がある。
  • 新規求人倍率は、新規求人数 ÷ 新規求職申込件数で算出。景気に先行して動く特徴がある。
  • 就職率は、就職件数 ÷ 新規求職申込件数で算出。求職者側からみた仕事に就くことができる可能性を示す。
  • 充足率は、就職件数 ÷ 新規求人数で算出。企業側からみた人を採用することができる可能性を示す。

一般職業紹介状況とは

一般職業紹介状況は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況(新規学卒者を除く)を取りまとめ、求人倍率等の指標を作成することを目的に、毎月実施されています。

  • 機関:厚生労働省
  • 対象:ハローワークにおける求人・求職者
  • 公表時期:月次。対象月の翌月末から翌々月初。
  • ポイント:有効求人倍率は、景気との連動性が高く、景気動向指数の一致系列に採用されている。ただし、民間の求人媒体を含んでいないので、雇用情勢全体を反映している訳ではない。

有効求人倍率と新規求人倍率動向

求人倍率は、求職者1人あたり何件の求人があるかを示します。求人倍率が高い場合は、企業がより多くの労働者を求めており、景気が良好であると考えられます。求人倍率が1を上回るのかが1つの基準です。

  • 求人倍率が1を上回る:売り手市場。労働者側有利。
  • 求人倍率が1を下回る:買い手市場。企業側有利。

具体的に、ハローワークの数値を見てみましょう。下図は、年平均の値です。

一般職業紹介状況の2019年は有効求人倍率が1.60、新規求人倍率が2.42です。1を上回っているので、2019年は売り手市場でした。また、有効求人数の2019年月間平均値は274万件、有効求職者数は171万人、新規求人数は96万件、新規求職申込件数は40万件です。ここで用語の定義を確認しておきます。

  • 有効求人倍率:有効求人数 ÷ 有効求職者数。景気と一致して動く特徴がある。
  • 新規求人倍率:新規求人数 ÷ 新規求職申込件数。景気に先行して動く特徴がある。
  • 新規求人数:期間中に新たに受け付けた求人数(採用予定人員)
  • 新規求職申込件数:期間中に新たに受け付けた求職申込み件数
  • 月間有効求人数:前月から繰越された有効求人数と当月の「新規求人数」の合計数
  • 月間有効求職者数:前月から繰越された有効求職者数と当月の「新規求職申込件数」の合計数

2009年のリーマンショックから求職者数が減少する一方、求人数が増加することで、求人倍率が増加し、買い手市場から売り手市場に移行してきたことがわかります。

新規求人倍率と有効求人倍率
労働環境を見るときには、一般的に有効求人倍率が使われます。ただし、日本は海外に比べて解雇が難しいため、企業は将来の増産などの見通しがないと求人を出しません。このため、新規求人の動向は企業の足元の景気感を示しており、労働情勢を見るには、新規求人倍率も併せて見る必要があります。

就職率と充足率動向

就職率は32.0%、充足率は13.2%です。リーマンショックの2009年以降、就職率は上昇、充足率は下降しているようにみえます。また、就職件数は2019年月間平均13万件です。ここで用語の定義を確認しておきます。

  • 就職率:就職件数 ÷ 新規求職申込件数。求職者側からみた仕事に就くことができる可能性を表す。
  • 充足率:就職件数 ÷ 新規求人数。企業側からみた人を採用することができる可能性を表す。

もう一度数値をみると、就職件数は大きく変わらないので、それぞれの分母の新規求職申込件数と新規求人数によって、就職率と充足率は変化します。景気が好況の時には求人数が増えるので、2009年以降充足率は下降しています。一方で、景気がよくなるにつれ求職者数は減るので、就職率は上昇しています。

就職率と充足率は、求人と求職者のマッチ度としても捉えることができます。詳細は下記PDFをご覧ください。

参考 マッチング指標を用いたマッチング状況の分析厚生労働省

さいごに

「有効求人倍率」について、背景となるデータや見方を理解できたのではないでしょうか?労働市場をみる際に、有効求人倍率が一般的に使われていますが、ハローワークが対象であり、新卒者を含まず、民間の求人も含まれていないので、雇用全体を表しているわけではないことに注意が必要です。

政府統計ポータルサイトe-StatデータをTableau(BIツール)で可視化しました。今回の一般職業状況はExcelファイルで、オープンデータすべてが整備されているわけではないことを知りました。データクリーニングするのにTableau Prepが便利です。

作成したダッシュボードは公開しているので、記事中の細かい数字の確認などにご覧ください。

一般職業紹介状況 -有効求人倍率-

次回は、ハローワーク求人と民間求人の傾向を比較したいので、全国求人情報協会が公表している求人広告掲載件数データを可視化したいと思います。